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オランダの有名な社会心理学者、長期間にわたるデータねつ造を認める 37

ストーリー by headless
自作 部門より
danceman 曰く、

オランダのティルブルフ大学は、社会心理学者Diederik Stapel元教授のデータねつ造疑惑に関する報告書を発表した(報告書: PDFScience Insiderの記事Reutersの記事本家/.)。

データねつ造疑惑が持ち上がったのは今年の8月。研究者3名による告発を受けて調査を開始した大学に対し、データねつ造を認めたStapel氏は9月7日に停職処分となっていた。大学側がStapel氏の元勤務先であるアムステルダム大学およびフローニンゲン大学にも問い合わせを行い、150本以上の論文を調査した結果、データのねつ造は過去10年近くにわたり繰り返し行われていたことが判明した。ねつ造されたデータは、4月にScience誌で発表された「Coping with Chaos: How Disordered Contexts Promote Stereotyping and Discrimination」を含む30本以上の論文で見つかったという。Stapel氏はオランダのBrabants Dagblad紙でデータねつ造に関して「科学者として道を踏み外してしまった」などとする謝罪文を発表している。

論文は採用前の査読により誤ったデータが排除されるが、これも絶対ではない。今回の件は、学術誌に掲載される論文の信頼性を揺るがす結果となった(Science Expressの記事 )。

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  • by tamanegi (38323) on 2011年11月05日 15時01分 (#2045487) 日記

    とかミスなら査読である程度排除できるとは思いますが、
    巧妙に捏造されたデータを排除するのは割と無理ゲーだと思う。

    # 多分分野にあんまりよらない

    査読といっても(少なくとも自分近辺の分野では)査読者が論文に
    掲載されるデータを全く同じ方法で作り直して、とかを必ずやる
    わけでもそれが可能なわけでもないし。大体そんなんを査読者に
    強制したら負荷が重すぎる。

    # 計算系でもコンパイラやコンパイルオプション、乱数の発生方式
    # とか果ては並列で計算させるプロセッサの数とか色んなことで違いが出る。
    # 実験でも完全に状況を再現するのは無理。
    # みんながみんな同じ装置とか設備を使うわけでもないし。
    # 一品物の装置とかは普通。試薬の純度だって共通でもないだろうし。
    # 場合によっては気候とか温度や湿度、天気にも影響受けるし。

    複数回やらかしてたり、ディスカッションするとあまりにボロボロとか
    の要因なしでは疑惑を確信するのはキツい。
    リンクの中身みてないけど、今回はどこで勘付いたんだろうね。

    今のシステムってある程度科学者の良心に依存する部分があるから、まぁ
    こういうことがあっても不思議じゃない。ていうか実際それなりにあるよね。
    でも願わくば自分の関わる領域では起きないで欲しい…。

    # 境界分野みたいなとこだと判断するのがムズいんだよ…。多分無理。

    • by khwarizmi (23623) on 2011年11月06日 10時09分 (#2045765)

      Hendrick Schoenの時は,全然関係ない実験のノイズが同一というので足がつきましたね。

      私が前いた分野(有機半導体)だと,化学系の人のほうがいい結果を出してくるんだけど,得てしてディスカッションがめちゃくちゃだったりするので,あまり参考にならない印象。物理系出身の合成屋さんはディスカッションしっかりしてるんだけど,これはこれで物性物理に偏ってしまっていてデバイス物理が適当とか色々極端。

      Shoenが暴れてたときは今以上に分野自体があやふやだったし,その時の物理の常識のほとんどが今は実験事実で否定されて残っていないことを考えると,ディスカッションで潰してたらあの分野の発展もなかっただろうなって難しさが。

      親コメント
    • by kawasaki_z750s (32690) on 2011年11月05日 15時08分 (#2045490)
      考古学でも、石器を自分で埋めておいて発掘→新発見! という自作自演がありましたね
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      査読をすり抜けてしまっても、

      ・他グループによる再現が出来ない
      ・別の手法で調べた結果と矛盾する

      などでバレたりしますね。
      論文が世に出た後も、チェックはいつまでも続く。

      • by Anonymous Coward

        マイナーな分野だとか、それほど重要じゃない論文だと二度と誰もチェックせずそのまま歴史の闇に埋もれていきますけどね。

        • by Anonymous Coward

          まぁ、埋もれたことでたいしたことがない誤りなので問題なし。
          # 大学の人事? んなもの知らん。

    • 学会から追放とかだけじゃなく、終身刑に近い罰で放り込むとか。
  • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 15時31分 (#2045502)

    海外での影響力が低いとはいえ、電気学会とか大手学会誌系は
    まだそれなりにきちんとしてると思うんですけど、
    関わっちゃいけない感じの学会はどのあたりなんでしょう?
    (人気がなくても、運営のまともな学会は名前を出さない方向で)
    より正確には、関わっちゃいけない学会というよりも、
    関わっちゃいけない先生が元締めしてる学会かもしれませんが

    特に分野横断型の新設大学院なんかは、気のせいか、
    大学は一流どころでも怪しい学会を運営してる教授がちらほらいるような
    その学会の役員リストに著名な先生がいても、名義貸しで実運営にはノータッチっぽい

    • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 18時16分 (#2045583)

      分野によりますよね、大気化学の分野だと、市販されている温度計や風速計、計測アンプでさえ追跡可能(評価が査読付きの論文でなされていること)がないと、自分で装置の評価をして、自分で論文をだすか、使いたい論文に付録させない限り査読は通らないけれど、それこそ電気学会とか機械学会とか何で測ったのかさえ分からないようなデータが山ほど載ってるし、ロボティクスメカトロニクス学会のような工学応用系になっていくと追跡検証に必要なノウハウやデータが全く発表に現れないこともあって、いったい何を寄り合ってるのか意味不明、、という学会もある。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 19時20分 (#2045602)

        >~電気学会とか機械学会とか何で測ったのかさえ分からないようなデータが山ほど載ってるし

        それはエレキの分野では買ってきた測定器で必要十分な精度が得られるからですよ
        気象関係では、例えば風速計といっても様々な形式のものがあって、それぞれ特性が微妙が異なる上に、過去何十年間にも渡って蓄積されてきたデータとの整合性・一貫性が必要だから非常に神経を使うのでしょうけれど、エレキではそういうことはありません(観測データがどんどん蓄積されていくのではありません)
        もっとも、エレキでも絶対的な精度を問題にするような分野(計測標準、基礎物性等)もあることはあります

        >ロボティクスメカトロニクス学会のような工学応用系になっていくと追跡検証に必要なノウハウやデータが全く発表に現れないこともあって、いったい何を寄り合ってるのか意味不明

        そういう応用分野では、従来にないコンセプトに基づいた処理を提案する・実現するという新規性が重要なのであって、過去の研究データとの厳密な比較など必要とされないのです(従来技術よりわずかでも進歩していれば問題なし)
        生化学系では追跡検証に必要な試料は著者から分けてもらわなければならないこともあるし、実験に決定的なテクニックの部分の詳細が公表されないこともあままるのです
        それでも実験結果が十分に信頼しうると判断されれば査読は通ります

        まあ、評価手段が定まっていないために、それぞれ勝手な処理を提案して、勝手な評価に基づいて論文書いてるというようなことは、いろいろな分野で見られることは否定できませんが、みんながみんないいかげんというわけではありません

        親コメント
        • さらにソフトウェア方面は、計算量とか数値のオーダが大事で、数値の有効桁数なんてほとんど気にしないしなぁ。

          "K" が 1000 倍なのか 1024倍なのかなんて、どちらでもいい。他の分野だと、2%以上の誤差なんて、きっととんでもないのだろうけど。

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        • by Anonymous Coward

          いやだめでしょ、サブミクロンオーダーでナノマシンと言ってみたり、センチメートルスケールでマイクロマシンといってみたり、、、
          そういう分野ですからね。

          そういうもんなんだぁといって聞き流していればいいんだけど、うっかりほっとくとマイクロ波みたいな用語が定着したりしたわけですしね。

          • by Anonymous Coward

            マイクロ波のmicroは小さいって意味で付けられてるだけだから、むしろ小さいって意味のmicroの語を接頭語に転用した科学界側に問題があるんじゃ……

            • by Anonymous Coward

              マイクロマシンのマイクロもそうですね。
              科学界というよりモトコメの人に問題がありそう。

    • by Anonymous Coward on 2011年11月06日 0時36分 (#2045697)

      真面目にやってる人は多少不器用でも仕方ないと思うんですが、
      いわゆる手配師系の先生が幅を利かすのは何とかならないですかねえ。

      伝聞ですが、とある社会人大学院に入学したら、教授が「最初は論文のサーベイするな。とにかく手を動かせ」
      と指導する先生で、提案するもの激励した挙げ句、ようやく卒業間近になって、
      その先生が周辺の論文を一通も読まず、世の中の研究の流れすら把握していなくて手遅れと気がついたとか。
      おそらく五年・十年はまともに論文読んでないみたい。某一流大学の話。
      学生はまじめに取り組みたいタイプなのに、研究を叩いて磨くどころか、壁にぶち当たったことすら気づかせなかったようで。
      (不思議なことに怪しい学会のマネジメントしてたらその状態でも、学生に恥を押しつければ、
       国内ジャーナルに、国際学会の発表までこなして実績カウントできるんですよね)

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      • by Anonymous Coward

        K○D?

      • by Anonymous Coward

        >伝聞ですが、とある社会人大学院に入学したら、教授が「最初は論文のサーベイするな。とにかく手を動かせ」
        それ科名にマネジメントとつく横浜の某新設院の話かな。
        「調べずにやってたら必ず人と違ってくるから」と指導してると噂で聞いて
        それ理学系なら車輪の再発明だよと思った記憶が。
        そこの学生がデカルチャーに遭遇しなけりゃいいんだけど。
        #それとも早めに遭遇したほうがいいのか

    • by Anonymous Coward

      学会という名前がついていても学会とは限らない
      日本画質学会 http://www.newww-media.co.jp/eventgasitsu.html [newww-media.co.jp]
      あくまでも学会という名前のユニットなのよん 『*学会メンバーは上記4名のみとし、活動においても4名の責任で行うものとする』

    • by Anonymous Coward

      学際領域で研究してるとこんな感じで悪印象が広がるのが辛い。
      不遇な時代はまだまだ続きそうですなあ。

      学際領域に胡散臭い研究が多いように見えるのは
      一般理論が存在せず科学として洗練されていないからだと思いますが
      それと捏造しやすいということとはまた別ですよ。
      別に学際領域でも実験や調査の再現可能性は高められますし
      分析結果に理論的裏付けが求められるのも一緒。

      むしろ一般理論がない分、分析結果の解釈には慎重ですよ。
      理論的枠組みを組み立てるのが大事であって
      実験や調査は枠組みの妥当性を示唆するくらいの意味しか持たない
      というのが学際的な研究の正しい在り方だと思ってます。
      学際領域はある種、一般理論を作る(学際じゃなくなる)前の準備段階ですからね。
      一般理論ができたらガッツリ検証すると。

      # とはいえ、学際領域の学会や大学院が玉石混淆なのは認めざるを得ないのでAC

    • by Anonymous Coward

      関わっちゃいけない学会

      既出の信濃町の学会とか、
      と学会とか?

    • by Anonymous Coward

      えてして、専門的知識が必要になるような。

      (ご指摘のように)著名な先生が名を連ねてても、名前を貸してるだけだったり、分野違いで質の判定が出来なかったりすることがありますし。
      また大きな学会になると、同じ学会が出している刊行物同士でも全然質が違うこともあります。

      最後は結局、刊行物の論文なり偉い人の主張なりが、科学的な裏付けをきっちり取っている内容どうか。世界中の専門家の目に触れてチェックされてるか、等々を調べる必要があるでしょうね。

      大学等でアクセスできる環境にある人なら、Web of Science やScopusで地味に調べるのが、結局は話が早いかと。

  • by Elbereth (17793) on 2011年11月06日 3時57分 (#2045732)
    ここで一つ、今回の事件のような捏造を生む社会心理について分析してみよう。

    というネタは誰も書いてないのか。
    • by slashbot.jp (22626) on 2011年11月06日 9時55分 (#2045762)
      成果主義の評価システム(とモラルや民度)といわせたいのでしょうか?
      特に、中国では、それを給料に直接反映させるようになったとかで、ry)
      日本では、(中国のような)外部の人がみて分かるような低レベルの捏造は少ないときいています。
      (たとえば化学系ですと、NMRのデータで、少しぐらいシフトさせとけよ、みたいな。www)
      日本で発覚するきっかけは、人間関係の恨み辛みに起因する内部告発が殆どだときいています。
      例えば、謝金をキックバックさせられたりやハラスメント等で恨みをもった学生が週刊誌にタレコムとか。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 14時13分 (#2045472)

    > 30本以上の論文で見つかったという。

    データ捏造が明らかになった論文を参照していた論文の価値はどうなるのでしょうか?
    また、その論文で学位を取ろうとしていた場合、残念な結果になるのでしょうか?

    # 気づけよ、という指摘もあるかと思いますが…

  • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 14時42分 (#2045481)

    業界人にとってはそれほど驚くほどでは無いはず
    シリル・バート http://en.wikipedia.org/wiki/Cyril_Lodowic_Burt [wikipedia.org] [wikipedia.org]

    これだけ高名な学者なのに日本版のWikipediaには載ってないのか.........

  • by Anonymous Coward on 2011年11月05日 15時14分 (#2045495)

    ねつ造したらもらった年収のn倍の罰金でも課したら良いんじゃない?
    もしくは詐欺罪で訴えるとか?

    • by Anonymous Coward

      死刑でよい。(社会的に)

    • by Anonymous Coward

      社会科学系の学問は意識的にねつ造しようとしなくてもねつ造できてしまうので注意が必要ですね。
      フィールドワークをしても例えばある事象が原因Bがあって結果Cがあるのか、それとも別の原因Aがあって結果B,Cに因果関係があるように見えるのか。
      この辺は見ただけではわからないですし。
      まあ、この辺は普通、学部の時点でやるもんだけど。

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物事のやり方は一つではない -- Perlな人

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