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バイオテック

「死のウイルスのレシピ」は公開されるべき? 58

ストーリー by reo
オープンソース 部門より

ある Anonymous Coward 曰く、

オランダの研究者が人口の半分をも滅ぼす恐れのあるウイルスを作りだしたとのことで、「ウイルスのレシピ」を含むこの研究の公開の是非について専門家らの間で議論を呼んでいるそうだ (DOCTOR tipster の記事本家 /. 記事より) 。

オランダのエラスムス医療センターの研究者 Ron Fouchier 氏によって作り出されたこのウイルスは鳥インフルエンザ株の遺伝子を組み替えたもので、極めて感染力が高いものとされている。Fouchier 氏は人間と感染方法が近いフェレットを使い実験を行ったとのこと。ウイルスの適応力を高めるべく、フェレット間でこのウィルスの感染を繰り返し更なる変異を進めたところ、10 世代後には近くにいるだけで空気感染する非常に強いウイルスに変異したとのことだ。この新株には 5 つの変異が認められたが、自然界では 5 つの変異が同時に発生することは無いとのこと。また、新株は感染力が強いだけでなく致死率も極めて高いという。

微生物遺伝学の専門家でありバイオセキュリティに関する米国委員会のコーディネータも務める Paul Keim 氏の言葉を借りれば「このウイルスよりも危険な病原体は思いつかない」とのことで、多くの科学者らや生体テロ専門家らがこの研究が公開され悪用される可能性について懸念を表しているという。しかし一方では公開することで、高い確率で起こり得るとされている H5N1 によるパンデミックへの準備対応を推し進められるとの声も挙がっているとのことだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 防衛策 (スコア:3, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2011年12月02日 10時22分 (#2059792)

    ・南極観測隊に応募する
    ・原潜乗りに転職する

  • >この新株には 5 つの変異が認められたが、自然界では 5 つの変異が同時に発生することは無いとのこと。

    原文

    A genetic study showed that new virus strain presented five mutations, and all could be also observed in nature - but only separately, not all five combined.

    5つの変異は全て自然界で見られるものであったが,5つの変異が揃っているウイルスは見つかっていない,ですね.
    このウイルスが外界からのコンタミではない一方で,既知のウイルス間の組み換えでこのウイルスが自然発生する
    可能性もあるということになります.

    過度にフェレットに適応していることも考えられるのですぐさま危険とは言い切れませんが,このウイルスでも
    変異していない部分の配列を使ったワクチン製造に見通しが立ったら公開する,というのが穏当かなと思います.

    --
    kaho
  • もう遅い (スコア:3, 興味深い)

    by tnk (13707) on 2011年12月02日 10時47分 (#2059810)

    一番重要なのは「危険なウィルスをどう作るか」という情報ではない。
    「危険なウィルスを作ることが可能だ」という情報,それ自体だ。

    その手法の存在が知れわたってしまった以上,知識があるものが手法を再発見することは難しくない。

    • by Anonymous Coward

      難しくない?
      想像に難くない?

      門外漢ほど技術者を魔法使いか何かのように勘違いして困るんだよな。

      • Re:もう遅い (スコア:3, 興味深い)

        by tnk (13707) on 2011年12月02日 15時36分 (#2060064)

        実際に,(ジャンルは全然違うものの)生物学を研究されている方が,今回の件について日記でこのように [hatena.ne.jp]書いています。

        仮に今回の論文が発表されなかったとしても、過去の論文を調べれば、ウィルスのどの遺伝子に変異を入れればこのウィルスが作れるかは見当がつくでしょう。(中略)今回のブログ記事にも、具体的な遺伝子名やタンパク質上のどのアミノ酸が変わっているかなどの予想も書こうと思えばかけたのですが、あえてやめておきました。

        インフルエンザウィルスの専門家でなくとも,ある程度近い研究者ならば手法が想像可能なようです。

        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 18時23分 (#2060125)

        技術者を魔法使いか何かのように勘違いして困るんだよな。

        魔法使いの多い職種ではあるけど。

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        そうでもない。
        同じ分野の研究をしている人が多数いるということが一つ。
        そして、「あることが可能である」と示されちゃうと、あと一歩でそこに到達できる人がヒントなしでもやり方を気づくことは多い。

        また、同日に同じ内容が独立に複数の研究者から報告された事例なんていくらでもある。

    • by Anonymous Coward

      「○○を作ることは不可能だ」あるいは「現実的ではない困難が伴う」とされてるもんならそうだろうけど
      「危険なウィルスを作ること」ってそこまで困難なレベルじゃないような気がするけどぇ…

  • by ryu-2 (9699) on 2011年12月02日 10時21分 (#2059789)
    小松左京先生は偉大だった。
    • by kasrapa (35967) on 2011年12月02日 10時27分 (#2059798)

      書こうと思ったのにぃ

      #これから冬を迎える今こそ、ウイルス入りセスナがアルプス山塊に衝突するにはもってこいの季節!
      #春がくれば雪が融けて…。

      親コメント
      • 同上。

        真っ先に思い浮かべたのはコレ。
        他にも南極観測隊、原潜と書いてる人いるし、復活の日ネタを連想する人多いな。
        もうあれだけのSF映画は日本では作れないでしょうねぇ。
        # ARSのコンソールとか、いろいろ怪獣映画っぽくて、日本で特撮取るとああなるわなってカンジもあるけど。

        「復活の日」では、隠したために研究が遅れて致命的な結果を招くことになっているんだけど、現実でも対策をさくっと研究するためにも公開するべきだとは思うんだよな。公開の時期と方法は議論する必要があるけれども。
        親コメント
  • by sumeshi0206 (12305) on 2011年12月02日 10時58分 (#2059820) 日記

    他の研究所でも同種のウィルスが作られないとも限らない。
    防衛策を今のうちに考えるべき。
    日本は鎖国?!

    核兵器より簡単にテロできますね?

    • by Anonymous Coward

      いっそのこと真っ先に日本にばらまけば世界は少しはマシになるんじゃね?
      # と、考える輩が出てきたりして。

      • by Anonymous Coward

        >いっそのこと真っ先に日本にばらまけば世界は少しはマシになるんじゃね?
        鎖国後ならともかく、国際線がバカスカ飛んでる国にウィルス撒くなんて世界中巻き込んで死亡確定っすよ

        #潜伏期間が長ければなお怖い

  • 研究者が時間と金をかけてこういう危険なウイルスを作る一般的な理由を教えてくださいませんか?
    ・純粋な興味
    ・乗り越えるハードルを上げる自己鍛錬であって、スポーツ等と同じ
    とかではさすがに苦しいと思うので。

    • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 11時29分 (#2059850)

      予算を確保できる。

      親コメント
    • by flutist (16098) on 2011年12月02日 11時53分 (#2059869)

      Science の記事 [sciencemag.org]によると、この研究は NIH の支援による、とあります。NIH はアメリカの National Institute of Health ですから、米国民の健康福祉の維持/向上が支援の目的です。

      記事によると、研究の実施者 Ron Fouchier も「お金のためではない」と言っているようです。目的は "to answer a question that has long puzzled scientists: Does H5N1, which rarely causes human disease, have the potential to trigger a pandemic?"、つまり鳥インフルのウィルスが人間のパンデミックを起こし得るのかどうかを調べる、ということです。

      以上はこの研究に限った話ですが、一般論としては、あなたが苦しいと言っていること、それらが理由だと思います。作っているものがウィルスでも原子爆弾でも、それが結局は人類全体の福祉に貢献すると信じているのでしょう。

      親コメント
      • なるほど。
        未知のウィルスに対処しなければならない未来に備え、自ら未知のウィルスを作って倒す方法を研究する。
        という感じかと勝手に思っていましたが、
        パンデミック自体の可能性やメカニズムの解明というようなニュアンスなのですね。

        研究者が信じる信念を貫く事は、何よりも大切な事だと思いますが、
        ありとあらゆる危険性を排除できる保証は無いので、
        研究者の倫理観というものが、せめてその世の平民の感覚と合っていて欲しい。願望。

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        私なら、とんでもないものが出来た時点で、無かったことにした研究者がいる事を信じたいね。

        • by Anonymous Coward

          自然発生する可能性が否定できない状態で無かったことにされたら、それこそ科学者の責任放棄でしょう。
          数年後、ワクチンを作っておけばよかった、警鐘を鳴らしておけばよかったと後悔しても遅いわけで。

          • by Anonymous Coward

            研究者に限らず、ですね。
            三陸海岸の津波も、なかったことにしてた人は大勢いたし。
            企業の不祥事も、内部でわかってた人はだろうけれど、無かったことにしてたり。
            それが普通です。なので無かった事にしなかった人こそがえらいのです。

            • by Anonymous Coward

              なんか違う気がするけど、説明できないので仕方ないか。

              原爆開発の過程でも、研究者は戦ってたよね?
              一人は没頭、もう一人は研究を遅らせて。

        • by Anonymous Coward

          研究者「怖くなって、捨てた」

    • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 11時56分 (#2059874)

      「危険なウィルスがどのように自然発生するかのメカニズムを明らかにする」ためには、
      実際に作ってみるのは有効なアプローチだと思う。

      親コメント
    • 高病原性鳥インフルエンザH5N1が、人への感染能力と飛沫感染能力を持ちうるかという疑問に対して然りと言えたことはとても重要ですよ。 研究が悪用されずとも、いずれ自然変異によってパンデミックが避けられない直近の危機であることが明白になった訳ですから。次はワクチン作成のために弱毒株を作るだけです。
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    • by Perverse (35628) on 2011年12月02日 13時16分 (#2059950)
      将来、実際にHIVウィルスやエボラウィルス以上に
      危険なウィルスが自然発生した時に、備える為じゃないかなぁ?
      HIVウィルスなども自然発生したんだよね?
      某科学者が意図的にばらまいた等、陰謀論を全否定する訳じゃないけどさ。
      親コメント
    • 逆にいれば「金が無い」と「時間が無い」以外に、作れる物を作らない理由を僕は知らない。
      目の前の赤いボタンを押さずには居られないのと同じ程度の理由だと思う。
      そこに哲学的な理由や、正義感とか求められても困ると思うな。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      >一般的な理由

      ・私を追放した学会への復讐
      ・世界征服に向けた第一歩

      純粋な興味やスポーツなどではない。
      それが存在意義であり手段であり目的であり人生なのだっ!

    • by Anonymous Coward

      可能性の提示と警鐘(つまりは、それに対応するための研究予算の確保)でしょうか。

      「人為的にできることを公開する」という行為は、言い換えれば、
      「突然変異がおきるかもよ(パンデミック対策)」「そういうことを研究している悪者がいるかもよ(テロリスト対策)」という
      警鐘になるわけです。

      テロに限って言えば、サイバーテロを起こす側が最先端だと対応できないから、
      テロリストより常に先に行く必要があるということでしょうか。

  • 天然痘のウィルスをどうするかも決まっていないわけで、 この例も難しいのでは。

    >WHO、天然痘ウィルス廃棄の議論を3年後に再開すると決定 CBRNニュース [livedoor.jp]

    --
    maruken
  • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 10時18分 (#2059787)

    一定年齢以上の人をターゲットに限定できるものを頼む

  • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 10時37分 (#2059803)

    研究を公開する
    ワクチンを作る
    ワクチン対策を施したウイルスを何種類か作る
    種類が多くてワクチン間に合わず

    どう考えても、いずれ人類は自分自身の手で滅ぶ

  • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 13時14分 (#2059946)

    作ってしまったものは仕方がないので、公開するべきかと。
    作り方を公開すれば、悪用される可能性もありますがほかの研究者が押さえ込むワクチンを開発してくれる可能性も高まります。
    暗号化のアルゴリズムを公開することで、幾多のクラックを受けながらその強度を上げていくように。

    • by JULY (38066) on 2011年12月02日 13時27分 (#2059964)

      その理屈で言うと、発見したゼロデイの脆弱性はすぐに公開すべき。

      まぁ、脆弱性の発見なら、通知すべき開発元があるから、そっちが先だろう、と言えるけど、この場合だとどこへ通知すべき?

      とりあえず、信頼できる製薬会社と協力して、ワクチンの開発を行い、目処が立つまで非公開、といった辺りが妥当かなぁ。でも、その「信頼できる製薬会社」という辺りが難しそう。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 14時51分 (#2060041)

    たとえ感染力が強くても致死率が高すぎると、まず伝染させるまえに宿主が死んでしまうし、さらに隔離も厳重になるから、案外と広まりにくい感じがする。
    エボラのように感染力と致死率の高さを併せ持つ病も、いまのところ局地的な被害に留まっているしね。

    SARS [wikipedia.org]にしても、もし死亡率は約9.4%ではなく94%なら、あれだけ広まっていないと思う。
    もちろんエイズのように極端に長い潜伏期間をもっているなら、どうなるか分からないけど。
    #本当に人類を半減させる自信があるなら、既にもっててもおかしくないかも。

    しかし、そこまで宿主をオーバーキルしてしまう強力なウイルスを、どうやって作り上げたのだろうねえ。
    #なんとなく、古代中国の毒蛇や毒虫を殺し合わせる蠱毒 [wikipedia.org]のようなレシピを想像してしまった。

    • 同意。
      ただし、感染力が強くて致死率高くて潜伏期間が長い場合はどうなんだろうか?罹患後発病まで長い上に感染力が強くて致死率高いとやばいかも。。。しかしそんなウイルスは多分人工的以外には発生しない。なぜなら自身が簡単に絶滅するから(宿主絶滅したら自分も絶滅ですからね)。
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ×:多分人工的以外には発生しない。なぜなら自身が簡単に絶滅するから
        ○:多分人工的以外には発生しても簡単に絶滅する。なぜなら

  • by Anonymous Coward on 2011年12月02日 16時33分 (#2060090)

    防護服来て必死に原発で作業してたら、自分たち以外全滅していたでござる・・・

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Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs

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