素粒子を利用して原子炉内部の様子を写し出す技術 31
ストーリー by headless
透視 部門より
透視 部門より
dodonga 曰く、
福島第一原発の原子炉内部をレントゲンのように写し出す技術の開発を、名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構の中村光広准教授のグループが進めている(YOMIURI ONLINEの記事)。
開発中の技術ではX線のかわりに宇宙線由来の「ミュー粒子」を使用する。この粒子は物質を貫通する力が強いが、密度の高い物質には吸収されて数が減る。そのため、原子炉の近くに特殊なフィルムを置き、粒子の痕跡を写し出すことで原子炉内部の様子を画像化できるとのこと。核燃料は原子炉の材料と比べて密度が高いため、ほかの部分よりも淡くフィルムに写し出されるのだという。原発付近の放射線量が下がって現場での作業が可能になれば、実用化へ向けた研究に移るとのことだ。
トライマグニスコープ (スコア:1)
# 最近読んだのでIDで
少し…頭冷やそうか…
放射線量云々の前に・・・ (スコア:0)
レントゲンと比較して考えると、線源が一方向になってないといけないような
気がするんですが、宇宙線の到来方向ってコントロールできるんですかね??
あるいは、制限できるんでしょうかね??
物との干渉がすくなくて透過性が高いから使えるんじゃねぇと、ということでしょ??
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:5, 参考になる)
実際に浅間山や薩摩硫黄島の内部透視が行われています [u-tokyo.ac.jp].
人工構造物についての応用例としては, 製鉄用の高炉の稼働中の炉壁状態測定なんてのが, いろいろと研究されています.
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:1)
ちなみに,最初の撮影対象はピラミッド [mit.edu]だったそうな.
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:2)
四方八方から飛来するミュー粒子自体を、指向性があるプラスチックシンチレータというもので捕まえていました。
シンチレータを向ける方位によってどのくらいミュー粒子が減少しているかを測定するようです。
番組のサイトには詳細は載っていないようですね。
http://www.bs-j.co.jp/asuteku/vol40.html
この番組は再放送ないのかな。
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:1)
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:1)
写真を撮るにあたって、有効なのは、フィルム面に対して鉛直方向から到来する宇宙線のみですから、
フィルムに当たらない向きから到来するものを気にする必要は無いと思います。
たとえば、日光写真でも、太陽光は色々な方向から飛んできますが、
その向きを気にすることなく、写真は撮れるので、そういうイメージで考えれば宜しいのではないかと。
#仮に写真を撮るとしても、フィルムのサイズが原子炉建屋サイズになると思うんですが、そんなデカいフィルム、作ってくれる処ありますかね。
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:4, 参考になる)
日光があらゆる方向から来るのに日光写真で画が撮れるのは、マスクと撮像面が密着しているからなので、ちょっと事情が違います。
今回の場合、原子炉は立体物ですし、そもそも密着させられないので、鉛板のコリメーター(撮像面に結像させるためのレンズのようなもの。en:wikipedia [wikipedia.org])を使うのだと思います。コリメーターといっても平行なミューオン束を作るのではなく、分厚い鉛板に放射状の孔を空けるようにして、大きな原子炉のイメージを1平米のフィルム上に結像させるようです。縮小光学(?)系と言っていいのかどうか分かりませんが。
読売新聞の図では省略されていますけど、他の方向からもミューオンは降り注ぐので、撮像面の他の部分も鉛で囲って撮影するのでしょう。
Re:放射線量云々の前に・・・ (スコア:2)
あー、「日光があらゆる方向から来る」ってのはさすがに言いすぎですね。とはいっても太陽の視直径は0.5度ほどあるので、日光写真のマスクと撮像面の距離が離れると細かい像から急速にボヤけていきますが。
Re: (スコア:0)
大気による散乱があるので「あらゆる方向から来る」でいいと思いますよ。
正面からしか来ないなら遮蔽の暗箱も必要ない。
Re: (スコア:0)
どれくらいサイズのものまで判別できる画像データになるんだろうか?
ドット絵みたいな解像度だと矮小なものは写らなそうだしね
いろいろと間違ってる気がする (スコア:0)
>写真を撮るにあたって、有効なのは、フィルム面に対して鉛直方向から到来する宇宙線のみですから、
このフィルムが火山のラジオグラフィに使ったのと同じなら、
厚み方向にスキャンして飛来方向を測定できるので、
フィルム面に対し垂直以外から入った情報も使って解析して絵にする。
>たとえば、日光写真でも、太陽光は色々な方向から飛んできますが、
>その向きを気にすることなく、写真は撮れるので、そういうイメージで考えれば宜しいのではないかと。
日光写真で風景が撮れるのはピンホールを使って絞ってるからなのだが。
>仮に写真を撮るとしても、フィルムのサイズが原子炉建屋サイズになると思うんですが、
総面積1平方メートルと読売の記事に書いてある。
矛盾してない? (スコア:0)
「物質を貫通する力が強いが、密度の高い物質には吸収されて数が減る。」
貫通力が強いということは吸収されずに貫通するんじゃぁないの?
Re:矛盾してない? (スコア:2)
ミュー粒子は荷電粒子なので、貫通した周囲の電子を励起して、その軌跡を残すため、軌跡が測定可能です。
Re:矛盾してない? (スコア:1)
いや、うん、その通りなんだけど、それは検出系のお話なわけで。
元コメの言ってる撮像対象での散乱の話とはまたちょっと違うのではないかと。
宇宙線ミュオンは結構高エネルギーなんで希薄な相手との衝突ではほとんど素通りするけど、重原子の原子核近傍を通った時の強いクーロン散乱ではそれなりに散乱されて透過量が減る。それを検出することで重原子の分布がわかるっちゅう話ですわな。
#検出器側での話はおっしゃるとおり。
核関連と言えば、アメリカあたりで核テロに備えてミュオンの多重散乱を利用した核物質検出器を作ろうとか言う研究(トレーラーやコンテナなどを丸ごと透過して調べる)が有ったけど、どうなったのかなあ……
Re:矛盾してない? (スコア:1)
ああ、プルトニウムやセシウムなどでの吸収の話ですか。早とちりしてました。
ミュー粒子(に限りませんが)、通過する物質量によって吸収度合いが決まるので、
鉄やアルミに比べてずっと重い(電荷の多い)核燃料は、比較的大きな吸収をします。
内部構造が分かっていれば、予測される減衰量との比較で内部情報がある程度推測できますね。
(このへんは名大のお家芸でもありますし)
ただ、宇宙線の強度は決まっているので、統計的に十分な測定ができるのかわかりませんが。。。
Re: (スコア:0)
揚げ足取りかも知れないけど、見れるのはプルトニウムやウランであって、
セシウムはそれほど見れないと思います。原子量的に圧力容器と区別がつかない可能性も。
というかセシウムの存在量自体が少なすぎるでしょう。
ところで、火山の場合露光に数ヶ月!らしいので、溶岩にくらべてウランなどは質量数が何倍も
大きいことですし、時間をかければ統計的に十分な測定もできるんでしょうね。
Re: (スコア:0)
全貫通するなら「強い」なんて言わんでしょ。
X線だって、貫通力は強い。
Re: (スコア:0)
散乱されて直進するやつが減ることを吸収と言っているんでは?
Re: (スコア:0)
物質を貫通する力が(光よりは)強いが、(それでも)密度の高い物質には吸収されて数が減る。
ぐらいの感じで。まあ何と比べるかなんですが、可視光だのなんだのよりは貫通するけど、ニュートリノほど素通りするわけでもない、ぐらいです。
皮肉なことですが (スコア:0)
福島の原発事故をきっかけに、多くの新しい技術が生まれていますね
それよりも (スコア:2)
Re: (スコア:0)
いや、この技術自体はもっと前から有るよ。
小型化してビル内の鉄骨の劣化が発見できないか?とか、テロ対策で荷台の中に隠された核物質を透過して発見しようとか、溶鉱炉のようなもののその場観察に応用できないか、とかそう言う基礎研究はもう何年も前から行われてる。
一般の人にはわかりにくい原理だからあまり取り上げられずニュースにならなかっただけで。
追加 (スコア:0)
昔どこかで研究会とかあったよな、と検索したら出てきた。
第三回小型加速器研究会 [hadron.kek.jp]の小型加速器のミュオンで実現する元素選別ラジオグラフィー [hadron.kek.jp]
Re: (スコア:0)
創世記機械!?
Re:追加 (スコア:1)
この場合はトライマグニスコープというべきでしょう。
Re: (スコア:0)
K粒子をコジマ粒子と空目してしまった
もしかして:アーマードコアシリーズ