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バイオテック

殺虫剤耐性を獲得した害虫、実は体内に寄生する細菌が殺虫剤を分解していた 29

ストーリー by hylom
私にも食あたりしない細菌をください 部門より
danceman 曰く、

最近、「殺虫剤耐性」を持つ害虫が登場している。殺虫剤耐性を持つようになった原因としては「遺伝子の突然変異」が考えられるが、このたび産業技術総合研究所や農業環境技術研究所などの共同チームが「害虫の体内に共生する細菌が殺虫剤を分解し、宿主に殺虫剤耐性を持たせている」ということを発見、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に論文を発表している(本家/.Ars TechnicaPNAS掲載論文)。

世界で広く使用されている殺虫剤「フェニトロチオン」を使用するサトウキビ畑から「バークホルデリア」という細菌を採取して調べたところ、同細菌がフェニトロチオンを分解できること、また同細菌を体内共生させている害虫は同殺虫剤に対して高い抵抗性を持つことが確認されたとのこと。

一方、この殺虫剤の散布回数が少なかったりその使用量が制限されている畑では、細菌と害虫の協力関係は見られなかったそうだ。

細菌は繁殖サイクルが早く、1日の間に複数世代にも増殖するため、短期間で殺虫剤耐性を獲得することができる。そのため、昆虫が殺虫剤耐性を獲得するまでの期間もこれまで考えられていた以上に短いことになる。

農作物を害虫から守るには殺虫剤を分解できる細菌さえ寄せ付けなければ良いわけで、殺虫剤のターゲットは今後害虫だけでなく細菌も対象になるのかもしれない。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by bikeman (14466) on 2012年04月26日 18時13分 (#2143501)

    カメムシは殺虫剤が効かない昆虫の最右翼だが、ホームセンターで売ってる1本200円程度のパーツクリーナーがよく効く。ただ低温になって動かなくなるだけなので、割り箸でつまんでポイするが、晩秋に家の中に入り込むカメムシは、この方法で追い出している。

    パーツクリーナーは、スズメバチにも効く。

    • by Anonymous Coward

      素直に凍殺ジェット用意しておけば凍結から殺虫まで可能ですよ

      • by Anonymous Coward

        >凍殺ジェット
        えらい値段高いぢゃないか。
        だから、キンチョルンと、これで万全。
        #他にも使えるし

      • by Anonymous Coward

        凍殺ジェットに殺虫成分は含まれていないので、
        ほとんど一時的に動きを止めるくらいしかできません。
        あれで死ぬのは、ごくごくごく限られた虫だけです。

  • 実はな(笑) (スコア:4, 参考になる)

    by YF19 (12943) on 2012年04月26日 18時45分 (#2143518) 日記
    「バークホルデリア属細菌、それを用いた植物病害防除剤および防除方法」 [astamuse.com]という特許があるんだよな。

    農作物を守る為に、この細菌類が役に立つこともあるみたい?(笑)
  • 昆虫の事をちょっと勉強したことがあるなら、ゴキブリの殺虫剤耐性の凄さは知っているだろうけど、
    ゴキブリって体内にかなりの数の細菌を持っているので、その多くの細菌の働きまで考えて殺虫しないと、
    やっつけられないなんて、実に難解だ。

    • しかしこの最強の敵も、上の方で出てるパーツクリーナーを吹きかけると案外簡単にやっつけられるという。

      ただ、狙いを定めでぶっかけた後、しばらく高速で走り回ってだんだん減速してひっくり返るという流れなので、家の中で狭いところに逃げられたら倒せたんだかなんだか分からないし、倒せたとしてもどっかに死骸が転がったままというあまり気分のよい倒し方ではないですが・・・

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      自分も真っ先に思い浮かんだのが、この"黒い奴"。

      もっとも、この連中ははるか太古より生存しているだけに、その能力も折り紙付きなのだろうか。

    • by Anonymous Coward
      そこでアシダカ軍曹ですよっ
  • 昆虫も細菌も適応能力にかけてはすごいですからね。
    たまたま(かもしれない)菌を口から取り込んだら、殺虫剤から逃れられ、生き残れた。菌を失うと死んじゃう。直接的な死のバイアス。都合の良い個体しか生き残れないなら、そういう昆虫が見つかるでしょうね。

    バークフォルディア属菌ではないけど、もっとすごいと思うのは、蝶の体内共生細菌ボルバキア。この菌は宿主が雌のときだけ、子どもに垂直伝播できるので、自分の宿主が雄なら雌に性転換させてでも生き残ろうとすることが知られています。詳しくはこの本 [tokai.ac.jp]をどうぞ。

    ヒトの場合は、そこまで単純じゃないですけど、体調とか気分とか、意外と腸内細菌の影響を受けてるかもしれませんよ。(肥満の話は・・・、よく分からないや。)

  • 案外、人間にとっても、益になるんじゃないだろうか?
    一部の病気は、病原菌の毒素によるものなんだから、この毒素をどうにか出来れば。

    --
    通知の設定いじったから、ACだとコメントされても気づかない事が多いよ。あしからずw
  • があれば淘汰圧は宿主のみにかかるので耐性が付きにくいんじゃ無いかな。昆虫にも細菌にも効く選択性が低い薬剤なんて人間にも効きそうだから、そんな作物なんて食べたくない。
    • なるほど、今回の共生関係が、宿主からの何らかの分泌物を受けて薬剤に反応しているのでなければ、有効な話かもしれない。まあしかし、細菌が1種類とは限らない。連携してるのかもしれない。そこんとこは害虫の体内だとしても結構複雑なんだろなあ。

      --
      俯瞰しよう。何事も俯瞰しなくちゃ駄目だ。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2012年04月26日 18時37分 (#2143513)
    腸内細菌や寄生虫によって健康を維持している部分があります
    (なんにしても、寄生虫や細菌とためはれる免疫力のもととなる体力が必要ですが・・・・)

    小沢さんが勢いづいたのも腸内細菌のおかげです
  • by Anonymous Coward on 2012年04月26日 19時15分 (#2143529)

    > 一方、この殺虫剤の散布回数が少なかったりその使用量が制限されている畑では、細菌と害虫の協力関係は見られなかったそうだ。

    元記事読まずに書くけど、その細菌には殺虫剤がもともと作用しないのかな?
    その場合、細菌自体に淘汰圧がかからないから、薬剤耐性の獲得と広がりは細菌の世代交代と比べて遅くなるのではないか?
    ついでに、自然状態では協力関係が見られないなら、昆虫はどのようにしてその細菌を取り込み、協力関係を生み出したんだろう?

  • by Anonymous Coward on 2012年04月26日 22時29分 (#2143644)

    昆虫の巨大なスパゲティDNAより原核生物であり、プラスミドもある細菌の方が急速な変化に対応しやすい。
    一度獲得した形質は急速に広がり種を越えて共有することが可能。
    コンポーネント化や仮想化の利点そのままですね。

  • by Anonymous Coward on 2012年04月26日 23時00分 (#2143661)

    >この殺虫剤の散布回数が少なかったりその使用量が制限されている畑

    素人が、医者に断らず勝手に抗生物質入りの薬をやめて、耐性菌を作り出すように、
    素人の減農薬農法が耐性菌を作り出している一因となっているわけか。

    • by Anonymous Coward

      なんでそのすぐあとを見ないんだ。
      全く正反対の結論だぞ。

  • by Anonymous Coward on 2012年04月28日 22時22分 (#2144593)

    「曲がったキュウリでは売り物にならない」といって二束三文に買いたたく連中。
    現にそれでも良いという消費者が現に居るのだから。

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私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike

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