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2012年ノーベル化学賞は G タンパク質共役受容体の研究について、Robert Lefkowitz 氏と Brian K. Kobilka 氏 14

ストーリー by reo
日経サイエンスに期待 部門より

headless 曰く、

2012 年のノーベル化学賞は、G タンパク質共役受容体の研究が評価され、米デューク大学の Robert J. Lefkowitz 氏と米スタンフォード大学の Brian K. Kobilka 氏が共同受賞した (プレスリリース) 。

Lefkowitz 氏は 1968 年から放射線を使用した受容体の研究をはじめ、βアドレナリン受容体などの働きを解明。1980 年代には Kobilka 氏がチームに加わり、βアドレナリン受容体をコーディングする遺伝子を分離した。Kobilka 氏のチームは 2011 年、ホルモンに反応したβアドレナリン受容体が細胞に信号を送る瞬間の映像をとらえることに成功している。

また、teratera 曰く、

細胞は外部と内部が細胞膜と呼ばれる脂質の二重膜で覆われており、細胞内に外部刺激 (化学物質等の外界由来の刺激やホルモン等による生体内由来の刺激) を伝えるためには、これらの膜を維持したまま内部に情報が伝わる必要がある。その情報の仲介を行っているのが 今回の研究対象であるGタンパク質共役受容体である。

細胞外部に刺激が G タンパク質共役受容体に結合すると受容体の形状が変形し、細胞内で活性化の信号を送ることになる。受容体はそれぞれ別々の物質によって活性化されるため、受容体の種類だけ刺激を分類できる可能性がある。G タンパク質共役受容体が実際に機能している細胞としては神経細胞、嗅覚細胞、その他成長ホルモン等によって分裂・分化が誘導される細胞となり、大部分の細胞で機能していると考えられる。

その特徴的な構造として、7 回膜貫通構造と GTPase (GTP を GDP に変換する酵素) を持ち、いずれのタンパク質配列も比較的容易に推測されることからゲノム計画完了の現在では G タンパク質共役受容体と推測されるタンパク質は多数存在する (7 回膜貫通領域は疎水性アミノ酸が集まっている部分が多く、GTPase は高度に保存されている) 。しかしながら機能が分からないものが多数存在し、特に製薬業界では活発に研究が進められている (一部の薬は、本来の物質の代わりに受容体に結合し、機能させたり機能不全にさせたりする) 。

このように研究が進んでおり、神経細胞や分化・分裂に機能していることが分かっていることからも医学・製薬関連でも大きな注目を集めているタンパク質であるが、『受容体』と言う割にはそれを活性化させる相方が分からないものが多数存在する。親水性部分と疎水性部分を併せ持っているために結晶化・構造解析が困難で、実際には一部に糖鎖修飾が成されていたりしてゲノム配列だけからでは機能が推測仕切れないためである。iPS 細胞の研究で有名となった c-Myc 等も、 通常の細胞内では受容体の下流で機能している因子である (c-Myc の場合、FAS と呼ばれる受容体の下流)。有名ではあるがまだまだ不明な点も多いこのタンパク質、今後の研究に期待したい。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2012年10月11日 11時08分 (#2248846)

    ZミネラルとかJビタミンとか

  • by Anonymous Coward on 2012年10月11日 12時07分 (#2248896)

    半分生物学みたいなもんですね

    • by Anonymous Coward on 2012年10月11日 12時50分 (#2248953)
      そろそろ化学賞の対象から生化学を排除してほしいな。
      ここしばらく、化学じゃない化学賞の割合が高すぎる
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        生化学って化学のサブセットじゃないの?

        • by Anonymous Coward
          生化学は生命現象を化学的なアプローチで解明しようとしているのであって研究対象はあくまでも生物、生命現象。 だから化学や応用化学をやってる人間の多くは生化学の分野が化学賞をかっさらっていくことにいい感情を持っていない。
    • by Anonymous Coward

      前の生理学賞スレで日本人で化学賞受賞の可能性があるって
      言う話があったけど、誰が候補だったんだろう?

      • by Anonymous Coward
        中村修二先生じゃないか?
        高輝度青色LEDの発明者といえばかなりの人が知ってるはず。
        • by Anonymous Coward

          ×高輝度青色LEDの発明者といえばかなりの人が知ってるはず。
          ○高輝度青色LEDの開発者といえばかなりの人が知ってるはず。

          デバイス屋さんが化学賞での受賞はありえない. 物理学賞での受賞もどうか. 
          中村氏が世界で最初に青色LEDを作ったわけではないし、サイエンスに根ざした立派な開発業績だが物理学の新たな研究領域を切り開いたというものではない. 他にも候補者がゴロゴロいる中で中村氏にノーベル賞を出す理由付けが難しいと思う.(一方、本多・藤嶋効果なんかは明快な理由付けが出来る)

      • by Anonymous Coward

        これかなぁ。
        http://www.reuters.com/article/2012/09/19/idUS36510+19-Sep-2012+HUG20120919 [reuters.com]

        こっちだと、候補に挙がってないですね。
        http://blog.chembark.com/2012/09/10/predictions-for-the-2012-nobel-pri... [chembark.com]

  • by Anonymous Coward on 2012年10月11日 12時17分 (#2248908)

    7回膜貫通って懐かしいな(院でそんなことやってた)
    βへリックスと呼ばれる円筒状構造が7個、間のくにゃくにゃの部分を介してつながってるやつですね。
    7節棍的な。
    その円筒状構造の壁面が疎水性、「くにゃくにゃ」が親水性になっているので、くねくねと折り曲がって
    全体で円筒状になったものが細胞膜上に浮かぶ(嵌る?)感じになって、それがアンカーみたいになるんですな。
    それを足場にいろんな細胞内外作用が起きると。

    7回なのは
    ・たんぱく質の両端(C端とN端)が反対側になること
    ・まとめたときの太さ(?)がちょうどいい
    とかなんですかね。

    1回とか6回とか11回とか聞かないもんなぁ

    • 7回膜貫通はGタンパク以外でもポピュラーですが、
      チャネルタンパクの必須条件というわけではありません。
      6回や5回や11回というものも存在します。

      おそらく進化的な要因(偶然)がもとで、あるとき
      7回膜貫通がデファクトスタンダードに君臨したのでしょう。
      まあ、貫通回数が多い方が複雑な構造を取れそうではあります。

      以上が生物的な要因ですが、物理的な要因としては、タンパク質の疎水性・親水性に理由があります。

      タンパク質というのはアミノ酸がいっぱいつながった鎖状構造(ポリペプチド鎖)で、
      親水性アミノ酸が多く並んでいる場所は親水性、
      そうでなければ疎水性ということになります。
      鎖全体をみると親水部分と疎水部分が交互に登場するわけです。

      で、細胞というのは膜がリン脂質で、細胞の内側と外側は大雑把に水です。
      つまり、タンパク鎖の疎水部分は、細胞膜にずぶっと埋まる形でないと安定しません。
      いまここに7つの疎水部位を持つタンパクがあるとします。
      これらの疎水部をすべて膜に埋め、親水部を外に出すためには
      全体をつづら折りにして膜を7度貫通させねばならないのです。

      親コメント
    • 1回といえば、タレこみにも書いたFasは1回膜貫通型です。
      FasLによって3量体になって、活性化します。

      GPCRの場合は単体で活性化する関係上、リガンドの結合によって構造変化が内部まで伝わる必要があって、そのためある程度の膜貫通回数があるのではないかと。
      ただし、7回である必然性については識者の意見がほしいところ。

      親コメント
  • いまの緑色の枠がどうも好きじゃないけど。前の枠なし雑誌の方が良かった。

    • by Anonymous Coward

      日経サイエンスからのコピペのタレ込み文なのか?

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クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人

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