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地球

太平洋に100トンもの硫酸鉄を散布する「海洋肥沃化」が行われる。国際法違反との指摘も 46

ストーリー by hylom
海洋汚染と紙一重 部門より
eggy 曰く、

地球温暖化対策として「ジオエンジニアリング」(地球環境の人工的な操作)が一部で提唱されている。たとえば今年の7月には米国のRuss George氏がカナダの太平洋沖で100トンもの硫酸鉄を散布、8月にその周辺域で二酸化炭素を吸収する植物プランクトンが10,000平方キロメートルに渡って大量に発生していたことが確認されている。しかし、こうした「海洋肥沃化」は国際法違反であるとする指摘もある(本家/.Guardian記事)。

同実験はカナダ西部のハイダグアイ島から200海里離れた海域で行われたが、同海域でサーモン漁を行う先住民族のハイダ族は「サーモン繁殖促進プロジェクト」であるとの説明を受けていたとのこと。同実験に協力するハイダ族はサーモンの水揚げ量が増大することを期待しており、一方のGeorge氏は収益性の高い炭素クレジットによる収入を期待している。

国際自然保護連合のKristina M Gjerde氏が指摘するには、硫酸鉄を海洋に散布した理由が二酸化炭素の貯留であろうがサーモンの繁殖であろうが、いずれにしても、商業的動機を伴わない合法的な科学調査であると査定されなければ、こうした実験は行ってはならないのだという。

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  • by gen_no_suke (45550) on 2012年10月18日 16時35分 (#2253914) 日記
     以前に読んだphason先生の日記「南氷洋における海洋肥沃化はかなりの炭素を海底に沈める」 [srad.jp]だった。
     こちらだと、「小規模実験以外は当面禁止」というトリキメになっているようでしたが、やっちまうヤツはやっちまうんですな。
     海に対して100トンとか誤差だろって話かもしれませんが…。

     誤差かな… 100トン…
    • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 17時01分 (#2253937)

      この規制の科学研究部分、実はきっちりとは決まっていなかったはず。

      そもそものロンドン条約に関連して決められた海洋肥沃化に関する決議自体が、「法的拘束力は無いけど守ってね」というような位置づけのもの(@2008年)。
      その内容としては「商業利用は当面禁止、科学調査に関しては承認制にして、今後策定するガイドラインに基づき各国が適切に判断する」とかそんな感じの投げっぱなし状態。
      (ただし、海洋への鉄等の散布を「海洋投棄による汚染」と解釈すれば、現行の枠内でも禁止出来る……だったかも)

      現時点では確かまだガイドラインは完成してないんじゃ無かったかなあ。だから科学調査に関しては多分グレーゾーン。
      判断基準のガイドラインが完成して、それを元に各国が自国で法整備をやってようやく取り締まれるようになるので、そこまで行っていない現在だと穴をついたような状態かも知れん。
      (ただ、正式な規制前とはいえ「やめとこうぜ」って世界の各国が言ってる状態で、強行すればあちこちから叩かれるのは目に見えているのに良くやったなあとは思う)

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    • by Anonymous Coward

      MAKE 08 (O'REILLY) にも、Russ George氏の記事はあります。

  • by prankster (12979) on 2012年10月18日 15時41分 (#2253861)
    >同実験に協力するハイダ族はサーモンの水揚げ量が増大することを期待しており、一方のGeorge氏は収益性の高い炭素クレジットによる収入を期待している。
    サーモンは動物プランクトン食。植物プランクトンが増えてもサーモンの餌にはならないと思います。二酸化炭素は固定できるでしょうけど。
    水揚げ増大を期待して協力したハイダ族の皆さんは怒るでしょうね。
    • by digoh (17917) on 2012年10月18日 15時46分 (#2253869) 日記

      植物性プランクトンが動物性プランクトンのエサになり……という期待は持てないかな。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 16時17分 (#2253894)
        >植物プランクトンが10,000平方キロメートルに渡って大量に発生していたことが確認されている。
        ということですが、その結果動物性プランクトンが増えたかどうか書いてないですね。
        これから?
        親コメント
      • by Anonymous Coward

        普通に、そういう食物連鎖です。

        植物プランクトン⇒動物プランクトン⇒小型魚(植物プランクトンも食べる奴はいる)⇒大型魚(プランクトンも食べる奴はいる)

        • by prankster (12979) on 2012年10月18日 16時13分 (#2253889)
          >普通に、そういう食物連鎖です。
          それが巧く起きるかどうかがカギでしょうね。植物プランクトンの大量発生から他のプランクトンを巻き込んだ大量死滅、なんて事になるんじゃないかと心配です。
          # 生態系のバランスを考慮した行為かどうか疑問。>100トンの硫酸鉄投下。
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          • by akairaiden (11916) on 2012年10月18日 21時45分 (#2254146) 日記

            硫酸鉄により肥沃化って人工的に赤潮の発生させてるのと一緒だからなぁ
            入り組んでる瀬戸内海とか、入り江が多い日本みたいに赤潮でとんでもないことに
            成るとは限らんけど、海水って意外と入れ替わり少ないんですよねぇ。海流から離れてると特に。

            赤潮が発生しちゃうと生態系のバランスは壊れちゃうでしょうねぇ。それ以上に悪臭も・・・

            親コメント
            • by Anonymous Coward

              >入り組んでる瀬戸内海とか、入り江が多い日本みたいに赤潮でとんでもないことに

              瀬戸内海は昔、富栄養化→赤潮発生に頭を悩ませていましたが、
              今では逆に、こんな報道が相次ぐ状態になっているようですね。

              「栄養不足の瀬戸内海を救え」
              http://www.nhk.or.jp/okayama-mogitate-blog/700/104552.html [nhk.or.jp]

              「【漁業】瀬戸内海、水が綺麗になりすぎて、魚がとれなくなった」
              http://news4vip.livedoor.biz/archives/51902100.html [livedoor.biz]

              「水清くしてノリ

              • by Anonymous Coward

                うどんの茹で汁なら任せろー!(ざばぁ

                こうですか、わかりません

              • by Anonymous Coward

                ただし、水は捨てないでくれ。

          • by Anonymous Coward

            プランクトンの大量発生と聞いて、赤潮としか思いつかなかったんだけど。
            酸素濃度が下がったり、エラが詰まったりしないんかな?

            • by Anonymous Coward

              昔海で泳いでいたら、いつの間にか赤潮が発生していて、体中にぼつぼつと発疹が

          • by Anonymous Coward

            食物連鎖がうまくいったとしても、

            ・サーモン漁獲高⇒人間に食われて、炭素は再び二酸化炭素に⇒大気中へCO2 Go!

            なので、二酸化炭素固定化という目標と、漁業振興って両立しなさそうなんだけど、
            この分野、漁業関係と地球化学関係が手に手を取り合って研究してんだよね。

            #本来、学会の別の会場でメインの研究発表をするはずの畑違いのトーシロが
            #プログラム編成の関係上話を聞いちゃう程度の仄聞での判断なのでAC。

            • by Anonymous Coward
              そうしたらその分、別の食物を食べないだけなので…(豊漁になると即人口増加、みたいな地域じゃないでしょう?)

              というかそもそもプランクトンの全数が食われるわけもなく、
              一定数は死骸となって海底に積もる、みたいな固定化が狙いでは?

              植物性プランクトンが増えると……
              ・死骸となるプランクトンが増える:長期的な二酸化炭素の固定量が増加
              ・それを食う動物性プランクトンが増える:食物連鎖の中でゆるく固定される量が増加
              ・さらにそれを食う魚類が増える:漁獲量が増加

              食われるものもあれば、食われないものもある。そのそれぞれの増加が狙いなのではないでしょうか。
              #こんなにうまく行くかどうかは別にして、狙いとしては。
              • by Anonymous Coward

                だいたい半分ぐらいが下に沈んでいくんですって~

                http://www.nature.com/nature/journal/v487/n7407/abs/nature11229.html [nature.com]

                そうしたらその分、別の食物を食べないだけなので…(豊漁になると即人口増加、みたいな地域じゃないでしょう?)

                というかそもそもプランクトンの全数が食われるわけもなく、

                一定数は死骸となって海底に積もる、みたいな固定化が狙いでは?

                植物性プランクトンが増えると……

                ・死骸となるプランクトンが増える:長期的な二酸化炭素の

        • by Anonymous Coward

          > 植物プランクトン⇒動物プランクトン⇒小型魚(植物プランクトンも食べる奴はいる)⇒大型魚(プランクトンも食べる奴はいる)

          ⇒ 漁師が魚をとる ⇒ 魚が余る ⇒ 猫にやる ⇒ 猫がネズミを捕らなくなる ⇒ ネズミが増えて桶をかじる ⇒桶屋が儲かる

    • ミズーリさんは植物性プランクトン(赤潮)をジンベイザメに無理やり食べさせてたっけ。

      --
      らじゃったのだ
      親コメント
  • by d-book (35036) on 2012年10月18日 17時01分 (#2253939)
    スケールが大きくて実験って言葉のニュアンスから逸脱した規模に感じます。
    • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 17時37分 (#2253975)
       硫酸鉄100tは、約53立方メートルとなります。25m*2m*1.1m、25mプール1コース分です。
       たったこれだけが100km四方の範囲に影響したというのが凄いのかも知れません。
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  • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 23時33分 (#2254228)

    このストーリー、グリーンピースの広告が出るんだ……。

  • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 16時59分 (#2253935)

    ポニョのお父さんが謎の液体を滴下するのを思い浮かべた。

  • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 18時25分 (#2254007)

    硫酸鉄を100トン散布して、藻が増える。オーケー。そこまでは理解できる。
    その藻が増えた分、海洋内のポテンシャルが低下していると思わないのだろうか?

    #ところで、いくら何でもカナダ沖での実験の「炭素クレジット」を米国が引き取るって…炭素クレジット自体がアレゲなのに、何だかなあ

    • by Anonymous Coward on 2012年10月18日 18時57分 (#2254033)

      >海洋内のポテンシャルが低下していると思わないのだろうか?

      海洋内のポテンシャル、ってのが何を指してるのかをまずはっきりしてくれ。そうでないと何について話してるのかさっぱりわからなくなるんで。

      いろんな栄養素のことだとすると、そもそも鉄による肥沃化を狙ってる海域は、「鉄(などの金属イオン)は不足してるけど、他の栄養素(リン・窒素等)が余ってる海域」になる。
      足りない養分だけピンポイントで足せば植物が増えるよ!ってんで、要は土壌に肥料を加えてるのと同じようなもんだな。

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  • by Anonymous Coward on 2012年10月19日 10時42分 (#2254412)

    一方日本では、山に木を植えた。

  • by Anonymous Coward on 2012年10月19日 12時21分 (#2254485)

    もし硫酸鉄を撒くだけで好漁場に変わるなら、漁業にとって、農業で窒素肥料を発明したなみのブレイクスルーで、
    必要な実験だったとは思う。

    周囲の同意を取り付けてより小規模の実験を繰り返すという段階的・民主的な手順を踏まず、
    旧ソビエトばりに、効果がありそうと見るや、いきなりどーんと100トン撒いてしまったのだから、
    環境への悪影響はともかく、少なくとも科学の進歩には貢献した。
    良い方向にサイコロが転がるといいね。

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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