パスワードを忘れた? アカウント作成
6545999 story
数学

我々の住む宇宙はコンピュータシミュレーションの中には存在しえない 73

ストーリー by hylom
バグのない世界 部門より
insiderman 曰く、

「私たちの住む宇宙は、誰かがコンピュータの中で作ったシミュレーションの世界だったんだよ!」という設定の小説などはいくつかあるが、私たちの住む世界はコンピュータシミュレーションではありえない、という答えが出たという(GIZMODO)。

元記事であるMIT Technology Reviewの記事ではもう少し詳しい背景が説明されている。そもそもの発端は、我々の世界は量子色力学という、量子同市の相互作用によって支配されているという点だ。もしこの量子色力学をコンピュータ上でシミュレートすることができれば、我々の住む宇宙をシミュレートできる可能性がある。現実的には、量子色力学は非常に複雑であるため、世界最高レベルのスーパーコンピュータを使ったとしても数フェムトメーターの世界しかシミュレートできない(1フェムトメーターは10-15メートル)。しかし、このような制限はコンピュータの性能向上によって解決できる可能性がある。だが別の問題として、コンピュータで量子色力学を完璧にシミュレートできるのか?という疑問もある。

これに対し、独ボン大学の研究チームが「Constraints on the Universe as a Numerical Simulation」(数値的シミュレーションによる宇宙の制約)として、一定の答えを述べている。まず、現実世界の物理量というのは連続しているが、コンピュータでシミュレーションを行う場合、これらは離散的な値でしか扱えない。そのため、コンピュータシミュレーションによる世界では現実の世界(連続的な世界)とは異なる挙動をするものがあるという。

たとえば、物質を構成する微粒子の位置座標に対し離散的な制約を課すと、その粒子が持つエネルギー量に関する制約が生まれてしまう。そうすると、たとえばある一定以上の高エネルギーを持つ宇宙線は存在できず、また角度ごとに(そして立方体状の対称性を持つように)エネルギースペクトラムの偏りが発生してしまうという。

実は、このような高エネルギーを持つ宇宙線の減衰については、「GZK限界」という同様の現象が予言されている。ただし、これは宇宙線が光子との衝突によって減衰するためだと言われていた。しかし、技術の発達により、現在ではGZK限界を超える宇宙線を観測できるようになり、スペクトラムの偏りも観測可能だ。つまり、これらを観測することで「我々の住む宇宙がシミュレーションかどうか」を判断できるという。

ただし、これはあくまで離散的な数値シミュレーションによって宇宙を構築しようとした場合の話であり、まったく異なる方法論でのシミュレーションであれば、このような制約は現れないかもしれない。また、離散化の粒度をもっと細かくした場合、我々の持つ現在の技術では違いを観測できないという。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 本文中にもある条件下では正確なシミュレーションが不可能、と言っているだけで、
    上げられている条件をクリアしたシミュレータ(あえてコンピュータとは呼ばない)があればいいだけですよね。
    (そもそも連続と離散について何か誤解があるように思えてならない)

    そして規模や時間の制約についてはそもそも同じ実時間で計算が完了する必要はないのですから
    (他世界で1000万年かけてこの世界の1秒を計算するマシンでも問題はない)、
    「この世界がシミュ~ではない」という証拠には全くならないと思います。

    これも「ワープは不可能と照明された」ってのと同じで「分かりやすいけど誤ったタイトルだけが広まる」んでしょうね……。

    • >上げられている条件をクリアしたシミュレータ(あえてコンピュータとは呼ばない)があればいいだけですよね。

      単なるシミュレータのバグがそう見えているだけだったりしてw

      # バグのないプログラムなど無い!

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      この宇宙の外側の話は内側からはわからないと思うんですけどね

      #「ワープは不可能と照明された」は誤った"証明"ではw

      • by Anonymous Coward

        ついでに。

        × 量子同市
        ○ 量子同士

    • by Anonymous Coward

      逆に考えるんだ。
      宇宙自体が最高性能のコンピュータだったんだ!
      というのが結論でよろしいでしょうか?

    • by Anonymous Coward

      現実世界の物理量が連続しているという前提条件ですが、結構前に時間や空間は
      離散的なもの(最小単位が存在する)という仮説を見たような。
      かなり前の話だし常にチェックしていたわけでは無いのですでに否定されている可能性もありますが、
      他にも暗黙の前提条件で実は間違っているものが存在するかもしれません。

      • by Anonymous Coward

        そうか、アナログコンピュータでシミュレートされていたんだ!

      • by Anonymous Coward

        > 時間や空間は離散的なもの

        プランク時間とかプランク長とかのことですね。少し思考実験すれば辿りつく程度の物理法則です。
        量子カオス理論なんかも勉強すると面白いですよ。

    • by Anonymous Coward

      そもそも

      >「Constraints on the Universe as a Numerical Simulation」(数値的シミュレーションによる宇宙の制約)

      だもんね。
      それを「コンピュータシミュレーション」と訳すからややこしいんじゃないかしら。

  • 本文は「数値的」シミュレーションなのに対し、タイトルの「コンピュータ」はアナログを含むので間違い。

    アナログコンピュータでシミュレート出来ないと主張するには、連続性の矛盾か不完全性定理の欠陥を証明する必要があり、本当なら大発見。デジタルのシミュレータで出来ないことを示すのは演繹的には可能で、本文はそういう主張。

    • by Anonymous Coward

      > 不完全性定理
      もうこの単語が出てきただけで知ったかと断定していいととてもよくわかる事例でした。

  • この宇宙がフェッセンデンの宇宙ではないこと。

    --
    らじゃったのだ
  • プログラムその物が、今自分を実行している環境が実機かエミュレータか判別ができるかどうか。
    良くできたエミュレータならば判別できない。

    判別方法の判明したマジコンは更にその穴を埋めて…

    結局シミュレータのでき具合に拠るだけでしかないようなー
    神の作ったシミュレータの出来は如何にw
  • by sei5 (45140) on 2012年11月06日 21時46分 (#2267190)

    お釈迦様の手のひらの上で、お釈迦様が居るかどうか、論議してる感じ?

    もし、この世界が、シミュレーション中の存在だったら。。。ね。

  • あらかじめメモリー容量の上限が決っているコンピュータでは無理でしょうが・・・
    必要に応じてどんどんメモリーを増設できるなら、ある時点に置いて有限のメモリーしかなくても
    コンピュータシミュレーション可能な気がするのは気のせい?
    連続だから離散的なコンピュータには使えないというのは何か違う気がする。

    • 箱を開けるまで猫が生きてるか死んでるか分からない、というのは、
      箱を開けるまでシミュレーションをはしょってるから、なのかもしれません。

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      つまりムーアの法則が終わったらビッグバン宇宙論も終焉すると
      • by Anonymous Coward

        はっ・・・衝撃の発見
        宇宙って実は無駄のない作りになっていて、案外容量すくないんじゃないかなとか思ってたりする
        DLLなんかで同じプログラムを複数のプロセスで共有して同一メモリにマッピングしているように
        中身が同じ配置になっている空間は、全部共有されていたりしてとか

  • その辺を見てみろよ。
    どいつもこいつもコンピューターとお話ししてやがる。

    このままじゃ俺たち、コンピューターに支配されちまうぜ!!」(若本ボイス)

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 19時18分 (#2267072)

    この世界の外には、単に1プランク秒を1フレとして動くプロセスがあるだけですよ。
    我々が観察してる量子は、そのプロセスが確保したメモリ。
    波がどうこうとか意味わからん観察結果になるけど、それは結果しか見てないから。
    そのメモリを書き換えてるプログラムそのものは、もっと別の理屈で動いてる。

    こっちの時間が外の時間と等価ではない。
    そう考えるだけで、計算能力の辻褄は合いますよ。
    シミュレーション仮説ってそういうもんです。

  • 舞浜サーバーの中で8月31日にリセットされるんだよ

    ・・・あれ?冬コミは?

    #はやく人間になりたーいgesaku

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時25分 (#2267005)
    つまり世界線は一つしかないことが証明されたのか
    • by Anonymous Coward

      量子コンピュータかもしれないし

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時32分 (#2267010)

    シミュレートしているコンピュータが動いている世界の物理法則が、シミュレートされている世界と同じであるといつから勘違いしてた?

    • Re:我々の世界を (スコア:5, おもしろおかしい)

      by s02222 (20350) on 2012年11月06日 18時21分 (#2267056)
      ニュートン力学こそが真の世界の状態で、この世界の物理法則は、コンピュータでシミュレートするために都合が良いようにモデル化されてるんですよ。でもなきゃ、相対論とか量子力学とか、あんな不自然な物理法則が発生するはずがない。

      光速を越えられない→シミュレーションのための都合。影響の伝播速度に上限がないシミュレーションはコストが高すぎるので、適当な上限を定めた。

      不確定性原理→空間の小単位毎にプロセッサを割り当てる並列計算で問題となる、プロセッサ間の結果の調停を誤魔化すための仕組み。個々のプロセッサで値を確定させると他のプロセッサとの計算結果の同期が問題になり、プロセッサ数を増やしてもシミュレート空間の体積をリニアには増加させられない。曖昧な結果のままシミュレーションを進め、必要に応じて結果を確定する高度なシミュレーションモデル。

      # というありきたりな妄想
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        えっこの速度無限大で伝わる上観測されたかどうかまで記録ビットを持たせておく必要のある量子エンタングルメントは何なのかって? だからあれだけこの仕様には反対したのにビッグバンまでの納期厳守とかで押し切られちゃったんだよ!

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時33分 (#2267011)

    物理量ってプランク単位で離散的になってるんじゃなかったの?

    • by Anonymous Coward

      私もこの立場を支持する。
      ただし何が分かるかって事までは知らない。
      単位系の組立はやってみたが、質量の中途半端さに悩んで辞めた。

    • by Anonymous Coward

      いいえ、初等的な量子力学の系でさえ、連続的な物理量(エネルギー etc.)は現れます。

    • by Anonymous Coward

      観測側も離散系にいたら同じ粒度の離散現象を観測できるんでしょうか?

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時35分 (#2267012)
    >1フェムトメーターは10-15メートル

    どうでもいい事かもしれないけど、違和感を感じた。
    • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時43分 (#2267023)

      違和感は感じるな。覚えろ。

      親コメント
      • 元コメントは、メートルとメーターの揺れについて違和感を感じるといっているのかと思ったのですが、違うのでしょうか?
        親コメント
      • 「違和感を覚える」の「覚える」は「感じる」と100%同じ意味で使われるから、
        >違和感は感じるな。覚えろ。

        >違和感は覚えるな。感じろ。
        で代替可能。
        違和感を感じるに駄目出しするなら違和感を覚えるも駄目になり、
        代替案は「違和感がある」あたりじゃない?

        • 「違和を感じる」ことが「違和感」
          なので、「違和感を感じる」は重複で明らかな誤り。

          「違和感を覚える」の覚えるは、「意識する」の意。自覚の覚。
          「(自分が)違和を感じていると認識している」という表現。
          代替可能ではありません。

          また、「疲労感がある」は、疲労したのもそれを感じるのも自分なので適切な表現ですが、
          「違和感がある」については、今の場合は違和の対象と「感がある」存在が異なるのであまり良い案とはいえません。
          (「肩に違和感がある(対象が同一)」や「一人だけ私服で違和感がある(場の雰囲気)」ならば適切なのですが)

          「違和を感じていると認識している」という周りくどい表現を改めたいのであれば、この場合は
          「違和を感じる」「違和を覚える」が適切でしょう。

          # 間違ってることを根拠にしてるから突っ込むけど、わりとどうでもいい

          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時36分 (#2267013)

    シミュレートされている世界の中ではあたかも物理量は連続的であるかのようにしか観測できないってだけの話じゃねーの。要は証明も反証も不可能。むしろ科学論文のふりをしてることが驚きだわと思ったらarXivじゃねーか。

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時37分 (#2267014)

    不確定性原理の h/2π 以下の現象は観測できないことから、
    それを世界の最小ビット単位のようにみなして
    世界の不連続性を語るSFチックな読み物をいくつか読みましたが、
    これってやっぱSFチックな読み物にありがちなテケトーな根拠なんですか?

    • by Anonymous Coward

      時空の量子化はいろいろ検討されてるよ。ループ量子重力とか、弦理論周りとかでも。
      空間などが離散的になると、連続場で出てきがちな問題(どこまでも接近出来るせいで発散する項がいろいろ出る)を回避出来る(最小単位までしか接近出来ないから)とか利点も多いんだけど、連続的な空間を前提にした数学的手法が使えないとかいろいろ難しい点も多い。

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時38分 (#2267016)

    この世界が機械に支配されていないならクリスマスを中止にできるはず!!
    世界中のぼっち達よ!!
    時は満ちた!!

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時39分 (#2267017)

    まるで平面世界人が自分たちの住む宇宙は三次元空間の中には存在しえないと結論しているかのようだ。

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時42分 (#2267020)

    バグっているって事だろ?

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 17時58分 (#2267042)

    ゲーム内の存在が、ゲーム外のことを語れると?
    それは宗教としてしか語る意味がないでしょう。

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 19時56分 (#2267092)

    私は、自分に自我があると思っています。自我がシュミレート出来ないとしたら「私」はシュミレートではない事になります。

    私は宇宙飛行士でも、実験物理学者でもないので「私」を騙すのに、大層なシュミレートは必要でしょうか。ニュートン物理学くらいシュミレートできればいいんじゃないでしょうか。

    「あなた」も、一緒ではありませんか?

    #唇とおっぱいの柔らかさは、シュミレートでは無いと信じてる。

    • by Anonymous Coward

      >自我がシュミレート出来ないとしたら

      現代物理的にはできない理由はないわな。

  • by Anonymous Coward on 2012年11月06日 20時47分 (#2267144)

    認識できないように設定されてしまえば、判別不可能なのでは?
    そもそも別に本物がある「何か」をエミュレートしているのではなくて、
    「何か」そのものが実体だという・・・

    #判別不能ならべつに貴方がアンドロイドだろうと構わないです・・・
    ## 判別不能なそれはアンドロイドなのか?

  • 箱庭の住人は箱庭の外の世界を知りえない。

typodupeerror

日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン

読み込み中...