2013年のノーベル化学賞は分子構造をシミュレーションするプログラムの基礎を作った3氏が共同受賞 8
ストーリー by hylom
化学とコンピュータの融合 部門より
化学とコンピュータの融合 部門より
headless 曰く、
2013年のノーベル化学賞は、複雑な分子構造をコンピューター上でシミュレーションするマルチスケールモデルを開発した米ハーバード大学のMartin Karplus氏と米スタンフォード大学のMichael Levitt氏、米南カリフォルニア大学のArieh Warshel氏が共同受賞した(プレスリリース、 時事ドットコムの記事、 CNN.co.jpの記事)。
かつて化学者らは球体と棒を使って分子構造モデルを作っていたが、現在ではコンピューター上でシミュレーションされている。3氏は1970年代に化学反応のプロセスを理解し、予測するプログラムの基礎を作った。現実を反映するコンピューターモデルは、化学の進歩に最も重要な役割を果たしたとのこと。
なお、同じ分野で活躍しており、受賞が期待されていた京都大福井謙一記念研究センター・シニアリサーチフェローの諸熊奎治・米エモリー大名誉教授は惜しくも受賞を逃すも、同じ分野の受賞について喜んでいるという(MSN産経ニュース)。
分子動力学計算 (スコア:5, 参考になる)
「かつて」と「現在」の間がはしょられすぎでしょ!:)
「球体と棒(より厳密にはバネ)」をコンピューター上でシミュレーションできるようになったのはいいけど、そういうマクロな古典力学的な力だけをシミュレーションしていては化学反応を扱えない。かといって分子構造全体にミクロな量子力学的計算を行うのはマシンパワーが足りない。
という問題を、「重要なとこはミクロな計算をして、他の部分はマクロな計算で済まそう」(これが“マルチスケール”)というやり方で解決し、実際にタンパク質のような巨大分子の化学反応シミュレーションに道を開いた。というのが「かつて」と「現在」の間です。
お三方はCHARMM [wikipedia.org]という、このへんの計算を行うソフトウェアの開発者たちでもあります。
Re: (スコア:0)
気がつきませんでしたよ。
かなりびっくり。。。
#それだけなのでac
四つ星レストランでシェフをしていた異色の経歴の持ち主 (スコア:2, 参考になる)
MSNの記事、最も先駆的な業績を挙げたカープラス氏は
仏ストラスブール大時代は教壇に立つ傍ら、
四つ星レストランでシェフをしていた異色の経歴の持ち主
というのは異色すぎるだろう。
才能ある人は何やっても一流なのかとボヤきたくなるな。
Re:四つ星レストランでシェフをしていた異色の経歴の持ち主 (スコア:2)
まあ世の中には分子ガストロノミー [wikipedia.org]という学問分野があって, それを応用した三つ星レストラン [franceguide.com]があったりしますから.
# 料理の化学的側面を意識したのはScientific Americanに載っていたベアルネーズソース [wikipedia.org]の解説が最初
Re: (スコア:0)
至高の化学調味料を求めてなぜか化学賞を獲ってしまった四つ星ハンターですか。
私らの時代は (スコア:2)
XploreとかAMBERとか使ってましたけどね。
主にsimulated annealing algorithmでproteinの構造求めてました。
にしてもこれって、ある意味計算科学の領域からノーベル賞が出たってことですかね?
そう考えると驚きです。
Re:私らの時代は (スコア:1)
計算化学は量子計算と分子計算に大別されます。
1998年に前者のノーベル賞が既にでており、今回は後者ということです。
AMBERの先生は亡くなっております。存命ならとっていたのでは。
CHARMM (スコア:2)
カープラス先生といえば、NMRのカープラスの式が思い浮かんで、
モデルではあるけどシミュレーション???だったんですけど、
分子力学計算(MM)も手がけられてきた、というかそっちがメインだったのか。
その成果がCHARMM [charmm.org]のようです。
Levitt先生は確かタンパクの高次構造予測の人だったような。
Folding@Homeなんかでやってることですね。
#Warshel先生はよくわかりません・・・