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サイエンス

三菱マテリアル四日市工場の爆発事故の調査でクロロシランポリマー類の構造が判明 53

ストーリー by hylom
未知の危険物質の正体が明らかに 部門より

今年1月、三菱マテリアルの四日市工場で爆発が発生し5人が死亡、13人が重軽傷を負うという事故が発生した(朝日新聞)。多結晶シリコン製造プラントの熱交換器を洗浄するためふたを外したところ爆発が発生したというもので、重さ約200kgのふたが10mほど吹き飛ぶという激しいものだったようだが、12日、この事故の調査結果が公表された(伊勢新聞報告書PDF報告書要約版PDF)。

事故原因は熱交換器内のクロロシランポリマー類が加水分解されてできた生成物が衝撃で爆発したとのこと。さらに、この生成物は低温・乾燥状態で爆発力が大きくなるという特性があり、そのため被害が大きくなった模様。また、爆発によって内部のクロロシランポリマー類が飛散してそれが燃焼しファイアボールを形成したという。

クロロシランポリマー類の加水分解生成物については、その発火・爆発危険性や生成過程、加湿処理条件について十分かつ正確な既知の化学的情報がなかったという。そのため、リスクアセスメントが不十分だったともされている。

なお、クロロシランポリマーについては爆発しやすいので誰も分析しようとしなかったが、その性質の一部がこれで明らかになったという話もある。

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  • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 8時57分 (#2622232)

    爆発力の源は珪素と珪素の結合エネルギーにあるそうです。これで爆発されたんじゃ、珪素生物ってやっぱり難しい?!

    • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 9時51分 (#2622272)

      SiとSiの結合エネルギーが原因、という言い方をするとちょっと違うというか誤解を招くというか。

      SiとSiの結合エネルギーはそんなに大きくない。さらに、Siに電気陰性度の大きい原子(ClとかOとか)が結合していると、Siから電子が持って行かれるのでSiは正に帯電する。するとSiδ+-Siδ+という結合になって、正電荷同士の反発も加わるからますます結合は弱くなる。

      その一方で、SiとO(とかFとか)の結合は非常に強い。これはOとかFとかが小さくて結合距離が短い、電気陰性度の大きいOとかFが電荷を持って行くのでSi-OとかSi-Fは「共有結合+短い距離でのイオン結合」的になってものすごく強い結合になる、とかが効いている。

      で、「弱い結合(エネルギーあまり低くない)が切れて、強い結合(エネルギーがすごく低い)ができる」という反応は非常に行きやすく、しかも発熱量が大きい(エネルギーの落差が大きいから)。だから危ない。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 9時25分 (#2622249)
      アセチレンが酸素共存下で爆発するからって
      炭素生物たる君の肛門は爆発しないだろ?

      君の肉体のどっかにN-O結合があったとしても
      君全体がTNTなみの爆発するわけでもない
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        > 炭素生物たる君の肛門は爆発しないだろ?

        そうだったらよかったんだが…

        おっと、クソレス失礼

    • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 9時04分 (#2622235)

      珪素生物「また爆発したよ。酸素マジこわいわー、酸素生物なんてありえないぜ。」

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      珪素-珪素結合をいっぱい持つデバイスを使って、いま/.Jに書き込んでいます。

      • by Anonymous Coward

        さらにリチウムの結合エネルギーで電力供給しているデバイスですね。

    • by Anonymous Coward

      珪素生物ってシリコーン、Si-O-Siが主骨格だと思ってた。
      #不安定すぎるのもだめだが、安定すぎるのもだめだけどね

  • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 9時30分 (#2622256)

    半導体の研究開発にシランガスはつきものだが、大学の研究室などでも同様の現象が起きる可能性はあるのかな?
    #一般人が思ってるよりも工学部は爆発事故が多くて危険なところ 過去に有名大学でも学生の死亡事故が発生している

    • > 過去に有名大学でも学生の死亡事故が発生している

      当時、私の弟が別の大学でシランガスの管理を任されていて(D1かD2だった)他人事じゃなく心配していました。
      「モノシランですまんからなぁ」と
      #漢字が読めないとジシラン…

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        当時、同じ建物の中にいた私が通りますよ~

      • by Anonymous Coward

        化学畑の友人に「うちの庭にシラン [wikipedia.org]たくさんあってさぁー」と話したら、お前の家は何をやってるんだという目で見られたのを思い出した。

  • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 10時03分 (#2622280)

    乾燥窒素流してたというだけ

    • by Anonymous Coward

      報告書には8h×20日間加湿窒素を流したと書いてあるようですが・・・。

      • by Anonymous Coward

        > 2013 年 11 月 28 日~ 3 日間にわたり、ドライ窒素ブロー処理を実施。
        > 2013 年 12 月 3~27 日 20 日間にわたり、加湿窒素ブロー処理を実施。
        > 2014 年 1 月 6~8 日 3 日間にわたり、ドライ窒素ブロー処理を実施。
        > 2014 年 1 月 9 日 7:30~11:00 洗い場へ移動、ドライ窒素ブローを実施。

        途中で加湿窒素を流しても、最後にドライ窒素でブロー処理してるな。

        • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 10時46分 (#2622312)

          >途中で加湿窒素を流しても、最後にドライ窒素でブロー処理してるな。

          それ自体は問題ない。その前までの条件下できちんと分解できてさえいれば、ライン内を乾燥させるだけだから。
          今回の問題は、加湿窒素で20日やれば全部分解するだろと思ってたけど実際はそうじゃなかった、って部分だから。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            えっ!タレこみをちゃんと読んだ?
            タレこみ本文では「加水分解されてできた生成物が衝撃で爆発」ってあるのに、

            加湿窒素で20日やれば全部分解するだろと思ってたけど実際はそうじゃなかった

            って、おかしいよね。

            加水分解したけどその生成物が爆発したというのが正答。

            • by Anonymous Coward

              ではむしろ(加水分解を引き起こす)湿潤窒素を流してはいけなかったってこと?

        • by Anonymous Coward

          加水分解の停止と発生した水素の除去が目的でしょう。

    • by Anonymous Coward

      湿潤窒素流して爆発原因となったクロロシランポリマー類の加水分解生成物が発生して、
      その後乾燥させたのが爆発要因と書いてあるように思うが

      現に処理が不十分で加水分解が起こってなかった下部のチャンネルカバー開放時には爆発してないし

  • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 11時17分 (#2622324)

    本当に危険だから分析されていなかったの?
    中間報告 [mmc.co.jp]を見ると、クロロシランポリマー類ってMkⅢ弾動臼砲試験においてTNT比で3.4%程度で、そこまで危険な物質とは思えないんだけど。
    クロロシランポリマー類の構造が分かっていなかったのって、単に注目されていなかったから誰もやらなかっただけなのでは。

    • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 11時27分 (#2622329)
      「クロロシランポリマー類」と「クロロシランポリマー類の加水分解生成物」は別の物質を指していることに注意
      後者が強い反応性を持ち、爆発のきっかけであるが、前者も可燃性であり巻き上げられたものが一気に燃焼して被害を大きくしている
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      みんなシラン顔してたってか。

      これからはクロロシッテルポリマーやな。

    • by Anonymous Coward

      > クロロシランポリマー類の加水分解生成物は、MkⅢ弾動臼砲試験で
      > TNT 比30%程度の大きな爆発威力を示すことが確認された

      なので、加水分解生成物が問題の物質

    • by Anonymous Coward

      研究室レベルの試験・評価で大爆発起こすようなものではなくても、普通の化学メーカーでは特別な理由も無いのに爆発すると分かっている・爆発させないといけない実験をやるわけにはいかないでしょう
      日常の業務として爆発物の評価をやっている火薬メーカーや防衛省、消防庁あたりの研究所なら話は別でしょうが
      #弾動臼砲試験って本当に大筒使うのかよ

      • by Anonymous Coward

        分析のため、じゃあかんの?

        水素と酸素を混合して爆発させるとか、ニトログリセリン合成してハンマーで叩くとか高校でやってたりすると思うんだけど。
        ナトリウムとかアルカリとかさんざん扱っておいて爆発だけはダメ、というのはちょっと理解に苦しむ。
        しかも別に日本の研究所だけに限った話じゃないし。

        # もちろん、適切な管理下での話ですよ。

        なんつーか、特に使いどころもないし分析しようとしたらすぐ爆発して分解しちゃうから面倒くさくてやらなかった、当たりなら解るんだけど。
        危険性に関係なく企業の研究室で勝手に業務に関係ない分析するわけにもいかないだろうし。

        • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 14時49分 (#2622501)
          多分、シリコン製造業でこういう工程があると知っていれば、研究する専門家もいたんじゃないかなぁ。
          製品じゃなくて「適切な管理をし損ねた時に生成する物質」だから、メーカーはこんなものができてるとは思わないし、専門家も製品は知ってても副生成物の処理工程までは知らないからニーズに気づかないし。

          事故発生の直前に熱交換器から取り外されたバルブに付着していた堆積物の採取を 2014 年 1 月 16 日に試みた際にも発火が起こった。堆積物は、爆発原因物質と同一のクロロシランポリマーの加水分解生成物であり、樹脂製のさじで採取する際の衝撃により発火したものと推定される。

          プラスプーンでつついたら発火するようなものだってこと、事故後でも把握できてなかったってことだよねコレ。

          # 硝安爆薬の研究は、硝安肥料の倉庫が爆発した大惨事がきっかけで始まったらしいけど
          # あれも事前に気づいていた人はいたのかなぁ

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            空気中の窒素を固定するハーバー・ボッシュ法は、
            第一次世界大戦で海上封鎖を受けていたドイツで
            火薬の製造に真っ先に使用されました。

            後に肥料の生産にも使われるようになり、ハーバー
            はノーベル賞を受賞することになるのですが、それ
            までは戦争犯罪人として裁かれることを恐れて逃亡
            していたそうな。

            したがって、硝安の利用は爆薬としてまず使われた
            という歴史があります。

            • by Anonymous Coward

              硝安ではないけど、硝酸塩という意味では天然の硝石なども古くから肥料として使われていたので、「爆薬としてまず使われた」って言い切れるかというと微妙な気も。
              #南米あたりでは、古くから硝石が「植物が良く育つおまじない」として利用されている。

              • by Anonymous Coward

                そんな工業化前の話をされましても

            • by Anonymous Coward
              (#2622501)です。
              うろ覚えだったので調べなおしましたが、「きっかけで始まった」ではなく「より詳細な研究が行われた」でした。
              大惨事というのはオッパウ大爆発 [wikipedia.org]のことですが、当時でも硝酸アンモニウムの爆発性はよく知られていたものの、硫酸アンモニウムとの混合比が60%未満なら爆発しないと考えられていた・・・けれども事後の研究でそれは間違いだったとわかったようです。
              英語版Wikipedia見ると、事故の数か月前に製法を変えて水分含有量が3~4%から2%に減ったことが爆発性を増したとあって、こういう高反応性物質の管理の難しさは昔から変わらんのだな、と思いました。
            • by Anonymous Coward

              > ノーベル賞を受賞することになるのですが、それ
              > までは戦争犯罪人として裁かれることを恐れて逃亡
              > していたそうな。

              そもそもノーベル賞がダイナマイトの発明を正当化するために創設されたことを考えるとなんだかなー

            • by Anonymous Coward

              デタラメ書いてんじゃねーよ
              アンモニア合成は肥料の枯渇に備えて20世紀初頭から至る所で研究されていた
              生産量の増大は開戦前から継続していて、ドイツ軍部が火薬合成に注目し始めたのは開戦後の事
              ハーバーが恐れていたのは毒ガス作戦の主導者としての責任を問われる事だった

  • by Anonymous Coward on 2014年06月17日 13時34分 (#2622443)

    都合の悪いことから目を背けてるとろくなことがない。
    ウラルの核惨事だって、時間が経ちすぎて細かい調査が出来ないという理由でケースとして取り上げられないし。
    チェルノブイリより福島事故に状況が似てるから利用できる知見が多く得られただろうに。
    はっきり住民に被害がでたことだけはわかってるんだし、大雑把な原因、経過もわかってるんだし。

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